わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

聞こえないと小学生の雑談に入るのは難しい

子どもが相変わらずサッカーに夢中です。youtubeではサッカーのスゴ技動画を見たり、土日の練習に汗だくで明け暮れています。学校の休み時間にもサッカーをし、私服も完全にサッカー少女です。トレーニングシューズで通学し、日焼けもしているので見た目は完全に少年のようになりました。

 

サッカーを始めた時は、聞こえないことやチームプレーについていけるのか、色々不安がありましたが、本人は楽しそうです。年頃だからか「練習も見てくれるな」スタンスでいるし、見に行きたいと言うと「恥ずかしい」と言います。反抗期よろしく心も健全に育っています。

 

この前サッカーの練習場に送った時、チームの少年たちが固まっていたので、私は「こんにちは」と挨拶しました。みんな元気に「こんにちは!!」とさわやかな挨拶を返してくれます。娘は、そこをスーッと通り過ぎ黙々と練習の準備を始めていました。

 

家に帰って、「みんなとコミュニケーションとれてる?」と聞くと、「どうせ分からないから話さない」と言います。小学生の集団の会話は、聞こえる私でも統制が取れておらずどう会話すればいいか分からなかったりするし、小学生ならではの残酷な視線があったりするので、新参者の聞こえない娘がどれほど苦労しているのかと理解できます。

 

「困ったときに頼れる人はいる?」と聞くと、「●●ちゃん」と答えました。体験で入ったときから娘の担当という感じで見てくれる女の子がおり、その子の名前を答えていました。

 

夫はチームプレーの大切さやコミュニケーションの大事さを伝えますが、娘は「だってわかんないし」と言います。聞こえないことはチームで周知の事実ですが、ただの雑談とか、休憩のときのどうでもいい話、とか、そういうには参加できていないようです。「一人でいる」と言います。そりゃ難しいよな、というのが本音です。

 

サッカーを始めた当初は、親として夢中になるものを見つけて嬉しい、聞こえる子の中に混じって楽しんでほしい、とその程度の願いでしたが、少し経ち、「チームと上手くコミュニケーションとってほしい」と私の欲が出てきました。「黙ってると怒ってるように思われちゃうから、挨拶だけしたほうがいいよ」と言いましたが、娘の声は細く、雑音にかき消されてしまいます。言って反応が返ってこないことはザラだし、手話の挨拶教えれば?と言ってみますが、あまり乗り気ではないようです。

 

「デフサッカーのチームがいい」と言いますが、子どものデフサッカーのチームというのは私の近所にはありません。デフサッカー日本代表と言われる選手も、地元の健聴チームで練習を重ね、技を磨き、上達しデフサッカーのチームで活躍することが多いようです。

 

私も子供の頃、いくつか習い事をしていましたが、すべて地蔵になっていました。他の学校の友達同士わいわい話しているところに入っていけず、塾でもそろばんでもエレクトーンでも、黙々と通っていました。会話に入ろう、友だちを作ろうとも思いませんでした。でも辛かったという印象はなく、やりたいからやっているタイプでした。私にとって習い事は、友だちとの交流が楽しいから行くところではありませんでした。あくまで習い事をしに行く場所でした。娘も聞くとそのようなスタンスのようです。「サッカーをしに行っている、サッカーは楽しい」と言いますし。

 

サッカーは楽しく、汗だくで夢中になっているし、練習も迷うことなく参加しています。まだ入って数ヶ月、もう少し見守ろうと思います。