わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

ドラマ「デフ・ヴォイス」をろう児が見たら

手話界隈で大盛りあがりの「デフ・ヴォイス」ですが、子どもが一人見る前に私が検閲しました。検閲というと言い過ぎですが、過度な差別表現とか悲しい描写があると、無駄に傷ついたり、手話って笑われたりするのかと過敏になったら嫌だからです。まだ子どもなので、社会の厳しさを教えたる!みたいな意識は全く無く、何も感じ取ってほしいものはありません。

 

私個人が見た感想は、悲しい場面や切ない場面、実体験と重なる場面も多く、切なく思う部分は多かったです。ろう俳優さんたちが熱のこもった演技をされていて、かっこいいなと思いました。出てくる手話もゆっくりと配慮されているのかわかりやすく、弟も「こう言ったんでしょ」と理解している場面もありました。弟よ、すごいぞ!

 

SNSでは、コーダの役はコーダが演じるべきとの厳しい意見もありましたが、夜のドラマで視聴者を広げるためには草なぎくんという確固たる主役は必要だったと思いました。しっかり手話で演技をし、やさしい表情でよりそう演技は、いいなと思いました。リアリティを求めるならノンフィクションでいいし、あれは原作のあるドラマなわけですから、エンターテイメント性も必要です。草なぎくんという主役がいて、周りを実際のろう俳優が固めて真実味を持たせるというのは、すごいと思いました。知名度の低いろう俳優や仮にコーダ俳優が出演するというだけでは、ここまで盛り上がらなかったと思います。ろうへの知識や興味がない人にも届く「ドラマ」を作るために、素晴らしいキャスティングだと私は思いました。

 

そして検閲の結果、見てもいいんじゃないと思い、ろう児と一緒に見ました。じっくり集中してみていましたが、「聴覚障害者が冤罪で投獄される」という場面にビビっていました。子どもは冤罪があることを理解しており、それが聴覚障害者だったことから、自分が捕まったらどうしようと言っていました。まず疑われるようなことをする大人にはならないですが、百歩譲って捕まったとして、そうしたら自分は無実であることをしっかり伝えればいいんだよ、と答えました。

 

中途失聴者弁護士役の方も出ており、それもいいなと思いました。独特の喋り方をしますが、伝わりますし、努力の結果弁護士になったエピソードはうんうんとうなりました。最後「司法試験に合格したあと、母にこれで耳が聞こえればいいのにと言われた」というセリフが胸をえぐりますが、ここでタイミングよく子どもはトイレに行っておりよかったです。あそこのセリフだけは見なくていいと思いました。そんな事言われたら元も子もありませんからね、本人の努力。

 

手話を笑う若者や、健聴者と聴覚障害者を敵とか味方でくくるシーン、転んで泣いても気づかない母親、とかあるあるな場面も多く大丈夫かなと思いましたが、特にそこは言ってきませんでした。自分の障害が、バカにされたり笑われたり差別の対象になりえるということは、今知らなくていいと思います。周りとの違いは気づいて悩んでいる今ですが、あえてドラマで現実を突きつける必要もないと思っています。なので、後編は見せないかなーと思います。でも、今回のように子ども本人が興味をもって見たいといったら、また私の検閲後(大げさ)判断しようと思います。

 

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