わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

聞こえないってわかった時どう思った?と聞かれたこと

夜なかなか寝付けないのか、子どもからこういった話が最近多いです。子どもは生まれたときから聞こえませんが、周りとの違いや自分だけが聞こえないときは4歳あたりで気づいていてこういった質問をくり返しています。自分の体のことですから、疑問や不安を親である私に話してくれるのはとてもありがたいと思っています。一人で鬱々と悩むということはないように、「悩みを言ってくれてありがとね」と言うようにしています。・・昨日は言い忘れてしまいましたが。

 

「なんで自分は聞こえないの」「なんで私なの」など、どうして自分が聞こえない状態で生まれてきたのかという質問は何度もありました。難聴児やろう児は1000人に1人生まれてくると言われていて、ほとんどが聞こえる親から生まれてきます。答えは「なんでなんだろう」「わからないんだよ」です。わが子の場合は、実際に分からないので。当時はたくさん病院にも行きました。

 

昨晩は「私が生まれて聞こえないってわかった時どう思った?」と聞かれました。「びっくりしたよ」と答えると、「他には?」というので、「どうやって育てていけばいいんだろうって迷ったりしたよ」と答えると、「なんで聞こえないって分かったの?」というので、「赤ちゃんだから、眠らせて脳波の検査をするんだよ」と言いました。「弟も検査したの?」というので、「生まれると大体の赤ちゃんは聞こえの検査をするんだよ」と答えました。

 

子どもが生まれるということは、それだけで奇跡ですし、祝福されるものです。でも、出産してみると見えてくる世界というのもあります。今元気に外で走り回っている子ども以外にも子どもは存在していて、その子は長く入院しているかもしれないし、ベッドの無菌室から出られない子もいるかもしれない。ベッドの上の専用の空調が外れることに喜びを感じたり、酸素がついた状態に凹んだりする親もいるかもしれない。そういった世界を出産後に痛感しました。

 

病気というのは生活していて目にする機会はほとんどありません。なぜなら存在しているけど入院していたり、最悪の場合死んでいたり、生活圏にいないことが多いからです。元気な子だけが学校に通い、走り回り、スーパーで泣いていたりするわけです。一般の世界で生活している子どもというのは、快活で多少の病気でもへっちゃらで、走れる足をもっているわけです。

 

眠れない子どもから自分の病気や障害のことを聞かれますが、その都度事実を話しています。隠すということは本人にとってよくないと思うし、あとになって「あの時言ってよ!」と後悔させたくないからです。小さい頃から、聞かれたときやふいの話題のときに「こうだよ」と伝え、積み重ねていくことは、本人の理解の一本筋みたいな形成に役立つかもしれないと考えています。