わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

聞こえるってどんな感じ?と聞かれたこと

わが子は聞こえませんが、家族みんなは聞こえるため「聞こえること」への憧れが大きいです。障害や病気は自分の力で変えることはできないので、時間をかけて受け入れていくんですが、今は思春期真っ只中で、その間の葛藤や絶望は計り知れないと思います。

 

「わたしも聞こえる子に生まれたかった」「なんで自分だけが聞こえないの」「昔だれか聞こえない人が周りにいたの」「なんで自分なの」とか、こういう質問は日常です。特に寝る前よく聞かれます。よくドラマや小説では、そういったシーンが劇的な一言として表現されることは多いですが、私や家族にとってはそれが日常なので「今か」と衝撃は喰らいますが、子供が前に進むために、理解していくために、日々問答のようなくり返しです。感情的になることなく、淡々と、でも悲劇的なことではないことを、日々伝えています。こういう質問と答えを繰り返すことで現状が変わることはないけど、娘にとって少しの理解の手助けになったりするといいなと思って答えています。

 

先日、寝る前に「聞こえるってどんな感じ?」と聞かれました。答えになっていないだろうなと思いつつ「目をつぶっていても周りに誰かいる、とか気配がわかる感じ」と答えました。子どもは「ちがうそういうんじゃない、どんな感じ?」と言うので答えに困りました。私は生まれながら聞こえることが当たり前なので、「うれしい」とも思いませんし、それが普通なので「どういう感じ?」と言われても難しいです。その時は「どんな感じ?どんな感じなんだろう」とぐるぐる考えている間に子どもは寝てしまいました。

 

そして朝起きた子どもは、コロコロを読みながらコーンフレークを食べるのを私に怒られつつ、元気に学校に行きました。

 

聞こえないわが子からの質問なので、聞こえないことをマイナスにするような答え方はしたくないし、でも耳に自然に音や声が入ってくることを事実として伝えるのは難しいなと思いました。

 

聞こえないと、何か日々が劇的のような、チャリティー番組のような、感動的なドラマがあるかと思われそうですが、私にとってはあまりそうではありません。苦労や葛藤の連続だったりするし、私たちにとってはそれが日常ですし。

 

みんな色々言わないだけで、それぞれ抱えているよなぁと思ったりします。