わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

聞こえないとサッカーをするのに何が大変か考えてみた

子供がサッカーを始めたいというので、近隣のサッカー少年団を色々探してみました。私はサッカー経験がありませんが、習い事でサッカーと言うとクラブチームと少年団があるようです。

  • クラブチーム

近隣の子どもたちが入ることが多い。月謝が安め。誰でも入団できる。チーム運営は保護者がやることが多い。

  • 少年団

本気でサッカーをやりたい人向け。月謝が高め。元プロ選手が指導したり、高いレベルの指導が受けられる。保護者の当番制はない。

 

子供は、学校の体育をきっかけにサッカーにはまったようですが、懸念としてはやはり聞こえないこと。チームプレーができるのか、サッカーをする子どもたちの負担や迷惑にならないか、コミュニケーションはどうするのか、そもそも女子人口が少ない、色々考えました。聞こえない人が行うデフサッカーはありますが、子供のチームはありません。聞こえない、聞こえにくい子供がサッカーをする場合は、聞こえる子供の中に混じって参加するしかありません。

 

実際子供は近隣の少年団に入りました。が、ビーッという笛の音や声掛けは全く聞こえません。ボールを蹴った音も聞こえないので、ボールとの距離感は掴めません。味方や敵の足音も聞こえないので、ボールを見ながらどこに誰がいるのか把握は難しいです。サッカーは、メンバー同士声掛けでゲームを進めますがそれもできません。子供同士やコーチへの理解を促していくことが大事だなと思っています。幸い、子どもたちにもコーチにも理解があり、「みんなが楽しくサッカーができること」をモットーにしているチームなので、理解もあり好意的です。本当にありがたいです。

 

絶対勝つ!!強くなる!うまくなる!がモットーのチームには入るつもりはありませんが、そういったところに理解を求めるのはなかなか厳しいでしょう。私の場合、こういった入る場所も色々考えます。相手の理解に負担がないかというのは重要です。「障害があるから配慮して!!」と声高に言うつもりもありません。それぞれの考えに沿ってチームや組織は存在しているので、理解してくれるところ、話せるところを見つけ、受け入れてもらったらそこに徐々に訴えていくという感じです。

 

入る前、入ってからも不安しかありませんでしたが、子供はとっても楽しいようです。意外でした。日焼けで顔を真っ赤にしながら、ボールを蹴っています。コーチの話は100%理解できていないし、子供同士のやりとりも10%の理解でしょう。でも、徐々に周りも手をひらひらさせて呼んでくれたり、肩をたたいて呼んでくれたりしています。会話は難しいですが、ボールの取り合いの練習や、お友達のリフティング等見て、これをやってみたいあれをやってみたいと気持ちが湧くようです。

 

周りを見て動くことが多い聴覚障害者ですが、理解できてから動けると景色が変わります。状況も分からずなんとなく周りについていくのではなく、文字や手話、視覚情報から情報を得ることはできますから、それを理解してから動くというのは理想です。一気に主体的になれます。でも、なかなかそういったことはろう学校の外に出ると難しい、というかできません。相手の理解も必要ですから。

 

デフサッカーはデフリンピックの競技でもありますが、まだまだ認知度は低いですね。見たこと無いという人がほとんどでしょう。競技者は聞こえない、もしくは聞こえにくい人のため、聴力の差がでないよう皆補聴器は外します。笛の音が聞こえないので、代わりに旗を使います。視覚優位にするわけですね。

www.jfa.jp

 

日々の生活ももちろんですが、スポーツや習い事に関しても、聞こえないというのは色々ハードルの連続です。音が聞こえないというか、音の存在も知らないし、それが鳴っていることにも気づけませんから。

 

なかなか大変なことは多いですが、本人が楽しいことが何より嬉しいです。