わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

筆談を始められるのはいつか

筆談(ひつだん)は、書かれた文字を使ってコミュニケーションを行う手法です。通常、聴覚障害者や言語障害者など、話すことや聞くことに制約がある人々が利用します。

 

筆談では、紙やスマホなどを使って、メッセージや情報を書いて相手に伝えることが一般的です。 筆談は、双方が文字を読み書きできる必要があります。一方が話す能力を持っている場合でも、もう一方が話を理解できない場合や、音声が聞こえない状況でのコミュニケーションに用いられることがあります。 

 

「読み書きができること、文字・文章が理解できること」これはかなり重要です。当たり前ですが、耳の聞こえない幼稚園児が筆談ができるかというと、無理ですね。耳の聞こえる幼稚園児が筆談できるかというと、これも無理ですね。文字を読むことや書くこと、理解することはある程度の年齢に達しないと無理だからです。

 

聞こえる子も聞こえない子も、一般的には小学一年生でひらがな・カタカナを学び、漢字も徐々に学んできます。だから、ある程度の単語や、漢字、ひらがな、てにをはが理解できていないと、筆談は難しいわけです。

 

聴覚障害がある=筆談、ではないわけです。一般的な文字の理解がある小学2年生に、漢字もりもりの文章を書いたところで、理解はされないわけです。仮に読んで理解できたとしても、その答えを相手に伝わるよう書けるかというと、そこは難しかったりしますね。

 

ではいつから筆談を始めるか。最近やってみました。子供の読み書きがスムーズで、語彙が増え、子供も自ら会話する勇気、意義を理解している(←これがとっても重要)、親であり聞こえる私も筆談をお願いする勇気を持つ(←これもとっても重要)、タイミング、この辺がそろったので病院でやってみました。

 

いつもは私が間で通訳に入っていましたが、「病気や怪我の症状は子供が直接話す重要性」は理解していました。が、それは聞こえる子が対象の話で、どうしても我が子は難しいところがありました。聞こえる子に「どこが痛い?」と聞けば、「ここ」と答えられますが、聞こえない子に「どこが痛い?」と直接音声で聞いても「?」です。手話ができる先生に今まで会ったことがないので、仮に筆談で「どこが痛い?」と聞いても、その時その子が文字が読めなかったら直接コミュニケーションはとれません。

 

筆談をやってみた結果、簡単な問答でしたがスムーズに答えられました。私も筆談でお願いしたい、と最初に伝えることができました。これもなかなか勇気が要りました。私は聞こえているので、「あなたが訳せばいいでしょう」と思われるのではないかと。でも、その病院の先生は子供に話すことは筆談で聞いてくれました。子供はそれを見て声で答えていました。

 

筆談をしてどうだったか聞いてみると、「緊張した」と答えていました。たった数問のことでしたが、ドキドキしていたようです。私が「筆談をお願いしたい」というのでさえ相手に理解を得られるかと緊張してしまったので、とてもがんばりました。

 

こどもは筆談がかっこ悪いと思っており、今後はその必要性・重要性を理解してもらいたいので話していくつもりです。

 

聴覚障害者=筆談、とよく見ますが、そこに至るまでの過程で色々あるわけです。一朝一夕で筆談ができるわけでもないし、本人の努力や葛藤、周囲の理解、歩み寄り、色々あっての筆談なのです。