子どもがはなカッパを好きで、よく見ています。たまたま学童への送りのときに、車内ではなかっぱをつけていて、私は目から鱗が落ちました。
先週放送されていた「海底楽園の美女」という話です。はなカッパのおじいちゃんが昔話をしていて、海底楽園の美女なる人と恋に落ちたとうれしそうに語ります。今、おじいちゃんにはおばあちゃんがいて、そして息子であるお父さんがいて、そしてお母さんがいてはなカッパが生まれています。
おじいちゃんがつらつら昔話をしていると、突然目の前に海底楽園の美女が当時の若さのまま現れ、おじいちゃんをカプセルに入れようとします。そのカプセルは、過去に戻ることができ、若さを取り戻すことができる、そして海底楽園の美女と恋をしていた時代に戻れる、でも今までの数十年の記憶はなくなるというカプセルです。おじいちゃんは少しの疑問を持ちつつもそのカプセルに入ります。はなカッパは終始心配そうに見ています。
しかしおじいちゃんは「おばあちゃんとの日々を忘れれる訳にはいかない」と叫び、はなカッパに助け出されます。結果、おじいちゃんはカプセルから出て、おばあちゃんのいる家に帰ってお茶を飲み過ごします。
これを見たときにあまりの内容に衝撃が走りました。まず、はなカッパのおじいちゃんが過去の女性のもとに戻ろうと素直にカプセルに入ってしまうという、子供番組らしからぬストーリー。そして、過去に戻ったら今のはなカッパやおばあちゃんはなかったことになってしまうという事実。
「過去は変えられない」「未来は変えられる」とか、過去を振り返ってしまう時にそういう言葉を耳にしますし、だから今を生きようくよくよするな、と奮い立たせる言葉でもあります。でも、過去に戻りたいと思ったことはあるし、あの時こうしていたらこうなっていたのではと思わない日はありません。
特に私は障害がある子どもを持つ身として、あのときのあれがいけなかったからこうなのではないか、と未だに考えてしまいます。何十年も前のことを思い出し、過去ここでこうしていたら、全く違った人生だったんじゃないか、違う幸せがあったんじゃないかと後悔することも多いです。
そういうとき、「過去は変えられない」という言葉はわかっていても腑に落ちず、納得できるものではありませんでした。でも、ふと車内で見たこのはなカッパで、目から鱗、腹落ちする、ハッとしました。
過去に戻ってしまったら、今ある子どももいないし家族もいないわけです。今の生活もないし今の幸せもないのです。悲しみや苦しみはあるけれど、今の子どもたちもなかったことになってしまうという事実を教えられました。たまにふと見るクレヨンしんちゃんのみさえやひろしに激しく共感することはありますが、はなカッパで頭をぶん殴られた衝撃を受けるとは思いませんでした。すばらしい内容で、心にすっと入ってきました。過去に戻ってやり直したら、今の幸せはなくなるという事実にハッとしたのです。
はなカッパ奥が深いです。キャラクターも皆一癖あって大好きです。