わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

夏はジブリ

「夏はジブリ」と金曜ロードショーでよくやっていますが、ちょっと遅れて我が家でも夏はジブリをやってみました。見た映画は「もののけ姫」「となりのトトロ」「耳をすませば」。8歳10歳の子供とも過去見ましたが、しみるセリフが改めてあって、自分の中に置いておきたいと思ったので記録します。

 

もののけ姫のエボシ

まず、「もののけ姫」に出てくる女性エボシが言う、

「賢(さか)しらに僅(わず)かな不運を見せびらかすな!」

「賢しら」はあまり聞き慣れない言葉です。意味を調べると、利口そうに振る舞うこと。物知りぶること、とあります。アシタカは自分のアザだらけの腕を見せ、「これを見ろー!」と声高に叫びますが、その後エボシがこう叫びます。昔はさらりと見逃してましたが、今回見たときグググっと胸に響きました。

 

翻って自分の生活を振り返ると、似たようなことは多いです。「私のほうが大変だ」「うちの子はこんなに大変だ」とか、苦労合戦をよく聞きます。私からすると「いや、恵まれてるよそれは」と思うことがほとんどですが、「うんうん」と聞き役に徹します。そこで「いや、私はこうこうこうで、ほら私のほうが大変でしょう?」と反論はしないわけです。いつもみんな自分より下の人を探すし、大変な自分を慰めてほしいねぎらってほしい理解してほしいという気持ちでいっぱいだ、と分かるからです。

 

私は産後にどん底を経験し人生も人生観も変わりましたが、このエボシのセリフは「そうそうそれなんだよ」と鷲掴みにされました。もののけ姫の中で、エボシ自身の背景は語られていませんが、病気の人や女性の世話をしているところを見ると、苦労や理解があるからこその今と思えます。が、その辺全く語りません。

 

アシタカが、「これを見ろー!!」と言ったのは、自分の不幸自慢というわけでは全くありませんが、エボシはその辺をうとましく思ったのかもしれません。だって自分も大変だし、みんな大変だし、色々抱えているから。

 

例えば、病気になったりするとその程度を周りと比べたりして、「そのくらいで良かったじゃん」とか「そんなの軽いもんだよ」とか、同じ病気とはいえその程度を比べたり軽んじたり、その逆も多かったりします。が、そういうのは声に出すものじゃないよと。みんなそれぞれ抱えていて大変なんだから、不幸自慢したのは分かるけど、ほどほどにしないとね、と。

 

「賢(さか)しらに僅(わず)かな不運を見せびらかすな!」

 

本当にこの言葉が胸に刺さりました。

 

耳をすませばの雫のお父さん

「人と違う生き方はしんどいぞ、誰にも言い訳できないからね」

これもガーンと来ました。小説家を目指しがむしゃらに文章を書く雫を理解し、諭すお父さんの言葉です。中学生の頃初めて「耳をすませば」を見た時は、「聖司くんかっこいい!音楽もいい!胸キュン!」くらいにしか思いませんでしたが、親になり、じっくり見ると、この言葉少ななお父さんなんていいこと言ってるんだと驚きました。

 

新卒で10年働き、子供の出産を機に仕事を辞め、最近子供が自立してきたので限られた時間の中でなにかできないかと色々模索していますが、それが人と違う生き方という大それたものではないものの、簡単ではないしもどかしいし、不甲斐ないという状態で今います。

 

この雫の父ちゃんの言葉が、励ましにもなるし支えにもなるし焦りにもなります。

 

「人と違う生き方はしんどいぞ、誰にも言い訳できないからね」

 

ぐうの音も出ません。