わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

新宿のドトールでアイスココアを被った彼氏

今週のお題「ほろ苦い思い出」

 

学生時代に付き合っていた彼氏と新宿のドトールに行ったときのことである。そのドトールは広く段差もあって、禁煙スペースと喫煙スペースに分かれていた。彼はハイライト?セブンスター?だかなんだかを吸っていたので、タバコが大嫌いな私なのに喫煙スペースの席でアイスココアを持ってくる彼を待っていた。

 

数回目のデートだった気がしたけど、彼はちょっとカッコつける感じで「アイスココアおごるよ」と言ってくれ、私は席で待っていた。お金がない学生同士常に割り勘だったが、たまに私だったり彼だったりがコーヒーを奢り合ったりすることはあった。そして注文を終えた彼がMサイズのアイスココアを小さなトレイに載せてこちらに向かって歩いてきているとき、見事に段差でズッコケたのだ。ドトールのMサイズのグラスはなかなか高さがあり重さもある。そして濃厚なアイスココアがたっぷり入っており、トレイは小さめ、そりゃバランス崩すよなとも思う。本当に見事にずっこけ、アイスココアを胸全体に被り、段差ですべってアイスココアを台無しにした彼を鮮明に覚えている。私は動じることなく「大丈夫?」といい、恥ずかしいという彼の気持ちが手に取るようにわかるので、なるべく冷静さを装った「ありゃー大丈夫?」と駆け寄った。新宿のど真ん中のドトールでアイスココアをかぶる彼氏に、当時学生だった私は相当動揺しそうだが、彼が年下だったこともあり、あまりショックもなかった。蛙化現象で嫌いになりそうな出来事でもあるが、私はそんなこともなくアイスココアを被りびしょ濡れの彼氏が微笑ましく、温かく席に迎え入れた。

 

その後うなだれる彼氏を席に座らせ、私は新しいMサイズのアイスココアをもらった。せっかくのデートに選んできたであろうシャツがココア色になっていることも笑えた気がする。

 

ほろ苦い思い出である。