わたしと子どもの備忘録

育児、聴覚障害関連エピソードを載せています。

鰻愛謳歌: 特上の贅沢散歩日

大学生時代にとてもお世話になった先生と今も仲良くしてもらっていて、大学を卒業してからも社会人になってからも結婚してからも出産してからも定期的に会って散歩を楽しんでいる。この上なく美味しい食事をして散歩をして珈琲を飲んでケーキを食べるという、最高に贅沢な時間を過ごす日というのを定期的に作っている。

 

先生はメニューを私には見せずに鰻の「特上2つ」を頼み、鰻が3枚のったお重に悪戦苦闘して小休止をとる私を横目に、ぺろりと平らげる。外は寒いのにお店の中が温かくて、できたての鰻を山椒たっぷりかけて一気に食べるものだから体も熱くなり、まだ鰻は残っていてでも残すわけにはいかないと、私は水を頼む。特上の鰻にはたっぷりのお新香と肝吸いもついてくる。残念無念と少しのお新香と肝吸いを残してしまった。お重は平らげました。

 

お店を出てから、「さすがですね」というと、「さすがに特上はボリュームありますね」という。この前違うお店で鰻を食べたとき、折りたたまれた特上鰻に蓋を開けた瞬間感動したけど、「やっぱり鰻の量はほどほどがいいですね」と話したところだったのに。お重の蓋を開けたら食べ切れると思ってしまうんだよな、私の胃。

 

学士会館が2024年末で閉館になり、2029年に再開するというのを知った。「5年間経過を見届けないとですね」というと、先生は「5年後となると私はあっちに行っているかもしれないから、見届けは頼みますね」という。そのときズドンと5年の重さを感じた。5年後というと、子どもは中学生で人生上り調子青春真っ只中だし、私も夫もアラフォー。でも親より年上の先生は、今年米寿を迎え5年後は93歳になっている。さすがに90を過ぎて今と同じように特上を食らい、あてもなく散歩ができるかというと、かなり怪しい。とても心配になって泣きそうになって、子どもに話すともっと泣きそうになって変な顔をしながら話していた。そしたら娘が泣いていた。

 

5年後の学士會舘を見届けるのはとりあえず考えないようにして、花粉が落ち着いた5月に会うことにした。会いたい人には今のうちに何度でも会っておかなきゃいけない。

 

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